「横浜で田舎の風景を見たいけれど、どこへ行けばいい?」
横浜といえば、みなとみらい、中華街、赤レンガ倉庫など、港町らしい都会的な景色を思い浮かべる方が多いでしょう。
ところが、少し内陸へ移動すると景色は大きく変わります。
田んぼと雑木林が続く谷戸、農家の畑、竹林、小川、古民家など、「ここも横浜なの?」と思うような田舎の風景が今も残っています。
なかでも田舎らしい景色を見たいなら、まず候補にしたいのが寺家ふるさと村・舞岡ふるさと村・新治市民の森です。
横浜市自身も、寺家ふるさと村について「昔ながらの横浜の田園風景」が残る場所として紹介しています。遠くの観光地まで出かけなくても、市内で田園や里山の景色に出会えるのが横浜の面白いところです。
横浜で田舎の風景を見るならこの5か所
- 寺家ふるさと村(青葉区):田んぼ・谷戸・雑木林がそろう「これぞ田舎」という景色
- 舞岡ふるさと村(戸塚区):田畑と農村文化を身近に感じられるエリア
- 新治市民の森(緑区):約70haの森と谷戸田が残る横浜屈指の里山
- 和泉川周辺(泉区):水辺と緑を比較的気軽に楽しめる散歩向きエリア
- 長屋門公園(瀬谷区):古民家や雑木林から昔の農村生活を感じられる場所

横浜に田舎の風景は本当にある?
結論からいうと、横浜には現在も田園・農地・谷戸・雑木林がまとまって残っている地域があります。
横浜市の2019年度調査では、市全体の緑被率は27.8%。なかでも緑区は40.6%と、市内でも緑の割合が高い地域です。
もちろん「緑が多い=田舎」というわけではありません。それでも横浜市北部や西部、南西部には、丘陵地の間に細長い谷が入り込む「谷戸(やと)」と呼ばれる地形が多く残っています。
谷戸の低い部分では昔から水田や畑がつくられ、その周囲には雑木林や竹林が広がってきました。
その結果、住宅地や鉄道の駅からそれほど離れていない場所でも、少し歩くだけで田んぼ・畑・森・小川が一体になった昔ながらの景色に出会えるのです。
横浜の谷戸そのものをもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
横浜 田舎の風景おすすめスポット比較
| 場所 | エリア | 田舎らしさ | 主な景色 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| 寺家ふるさと村 | 青葉区 | ★★★★★ | 谷戸田・雑木林・水路 | 一番「田舎らしい横浜」を見たい人 |
| 舞岡ふるさと村 | 戸塚区 | ★★★★★ | 田畑・竹林・農村景観 | 農業と里山を一緒に楽しみたい人 |
| 新治市民の森 | 緑区 | ★★★★★ | 谷戸田・森林・里山 | 森歩きも楽しみたい人 |
| 和泉川周辺 | 泉区 | ★★★★☆ | 川・緑・水辺 | 長距離の山歩きを避けたい人 |
| 長屋門公園 | 瀬谷区 | ★★★★☆ | 古民家・雑木林・小川 | 昔の横浜の暮らしを感じたい人 |
「とにかく田んぼのある景色が見たい」なら寺家ふるさと村または舞岡ふるさと村、「森の中を歩きたい」なら新治市民の森、「あまり山道を歩きたくない」なら和泉川周辺から選ぶと分かりやすいでしょう。
1.寺家ふるさと村|横浜とは思えない田園風景
横浜で「田舎の風景」を探している方に、最初に候補にしてほしいのが青葉区寺家町にある寺家ふるさと村です。
寺家町は横浜市青葉区の北端にあり、東京都町田市と川崎市に接する地域です。
雑木林に囲まれた谷の低地には「谷戸田」と呼ばれる細長い水田が広がり、田んぼ、水路、畦、森がひとつの景観をつくっています。
横浜市も寺家ふるさと村を、「昔ながらの横浜の田園風景」が色濃く残る場所として紹介しています。
寺家ふるさと村で見たい風景
- 谷戸の奥へ続いていく水田
- 田んぼを囲む雑木林
- 農業用の水路
- 季節によって表情を変える田園
- 畑や農家のある生活風景
いわゆる観光施設としてつくられた「田舎風テーマパーク」ではありません。
現在も農業や地域の暮らしが続いている場所だからこそ、本物の田園風景を感じられるのが寺家の魅力です。
四季の家を起点にすると歩きやすい
初めて訪れる場合は、総合案内所「寺家ふるさと村 四季の家」を起点にすると分かりやすいでしょう。
館内では寺家の自然・農業・文化などが紹介され、周辺散策の情報も確認できます。
東急田園都市線青葉台駅から「鴨志田団地」方面のバスを利用できるため、横浜中心部から訪れる場合も、必ずしも車が必要な場所ではありません。
寺家ふるさと村を歩くときの注意
田んぼや畑、水路、畦などは農家の方が管理する大切な場所です。写真撮影のために農地へ入ったり、農作業の妨げになる場所で立ち止まったりせず、道路や指定された散策路から景色を楽しみましょう。
春の田植え前後、青々とした稲が伸びる夏、稲穂が色づく秋など、季節によって同じ場所でも印象は大きく変わります。
「横浜にこんな景色が残っていたのか」と感じたいなら、寺家ふるさと村は外せない場所です。
2.舞岡ふるさと村|田畑と農村文化が残る戸塚の里山
もう一つ、横浜市が「ふるさと村」として整備しているのが戸塚区の舞岡ふるさと村です。
舞岡は周囲を住宅地に囲まれながらも、田畑、山林、竹林などがまとまって残っています。
横浜市によると、舞岡ふるさと村は約102.7ha。農業が現在も行われている地域で、自然だけでなく「農のある横浜」を感じられるのが大きな特徴です。
舞岡の魅力は「見るだけではない」こと
舞岡では、単に田んぼを眺めるだけでなく、時期によって農産物の販売や収穫体験、自然観察などが行われています。
総合案内所「虹の家」では、舞岡の農業や自然、農村文化に関する展示を見ることもできます。
イベントや収穫体験は実施時期や予約条件が変わるため、参加したい場合は出発前に公式情報を確認しておきましょう。
舞岡公園・小谷戸の里まで組み合わせる
時間に余裕があれば、近くの舞岡公園「小谷戸の里」まで足を延ばすのもおすすめです。
小谷戸の里には、戸塚区品濃町にあった旧金子家住宅の母屋が移築・復元されており、茅葺屋根の古民家を見ることができます。
田畑だけではなく、古民家まで見ることで、現在の横浜からは想像しにくい昔の農村生活をイメージしやすくなります。
舞岡がおすすめなのはこんな人
- 横浜の田園風景を見たい
- 田んぼだけでなく畑も見たい
- 農業や農村文化にも興味がある
- 古民家も一緒に見たい
- 子どもに「農のある風景」を見せたい
3.新治市民の森|約70haの森と谷戸田が残る
「田園だけでなく、本格的な里山の森も歩きたい」という方には、緑区の新治市民の森が向いています。
横浜市の案内では、新治市民の森は約70ha。市内でも規模の大きい市民の森のひとつです。
特徴的なのは、ただ木が生えているだけの森林公園ではないこと。
谷戸、谷戸田、雑木林など、かつて横浜の内陸部で普通に見られた里山の構成が残っています。
「にいはる里山交流センター」からスタート
初めて訪れる場合は、新治里山公園内のにいはる里山交流センターを起点にすると安心です。
JR横浜線十日市場駅南口から徒歩約15分と案内されており、電車でも訪れやすい里山です。
センターでは新治の自然や里山文化について紹介されているため、森へ入る前に立ち寄ると、ただ歩くだけより景色を理解しやすくなります。
新治は「歩きやすい公園」とは少し違う
ここは注意しておきたいところです。
元記事では新治市民の森を「車椅子やベビーカーでもスムーズに散策できる」と紹介していましたが、市民の森には起伏や土の道があります。
一般的な都市公園のように、森全体が舗装されているわけではありません。
雨の後には足元がぬかるむことも考えられるため、森の奥まで歩く場合はスニーカーなど歩きやすい靴が向いています。
高齢の方や長時間歩くのが難しい方は、交流センター周辺や里山公園を中心に楽しみ、体調に合わせて距離を調整するのがおすすめです。
無理をしないことが横浜の里山散策では大切です。
「全部歩く」のではなく、田園を見るだけ、交流センター周辺だけ、森を30分だけ、と短く区切っても十分楽しめます。
4.和泉川|水辺から楽しむ横浜の田舎風景
山道を長く歩くのは避けたいけれど、都会の景色から少し離れたい。
そんな方に向いているのが、泉区を流れる和泉川周辺です。
田園そのものを楽しむ寺家や舞岡とは少しタイプが違い、こちらの主役は川・樹木・草地・水辺の風景です。
住宅地のすぐ近くを流れているにもかかわらず、水辺へ近づける場所や緑の多い区間があり、「遠くの田舎へ来た」というより、日常のすぐ隣にある小さな田舎という雰囲気があります。
和泉川を詳しく歩きたい方は、別記事でルートや見どころを紹介しています。
体力に合わせて途中で切り上げやすい
和泉川周辺の利点は、相鉄いずみ野線の駅が比較的近い区間があることです。
最初から長距離コースを設定せず、
- 水辺を少し見る
- ベンチで休憩する
- 鳥や植物を眺める
- 疲れる前に駅へ戻る
という楽しみ方ができます。
里山散策というと「何kmも歩かなければ楽しめない」と思いがちですが、そうではありません。
川の流れを眺めながら30分ほど過ごすだけでも、みなとみらいとはまったく違う横浜を感じられます。
5.長屋門公園|昔の横浜の農村生活を感じる
田んぼの広がりよりも、昔ながらの農家や農村の雰囲気を感じたいなら、瀬谷区の長屋門公園もおすすめです。
長屋門公園は横浜市瀬谷区阿久和東にあり、園内には茅葺屋根の古民家、長屋門、雑木林、小川などがあります。
古民家には囲炉裏やかまどなども残され、昔の生活をイメージしやすい場所です。
相鉄線三ツ境駅から徒歩で向かうこともできますが、歩く距離を減らしたい場合はバスを利用し、「上阿久和」から歩く方法もあります。
「昔の田舎」を感じたい人に向く
寺家ふるさと村が「現在も農業が続く田園風景」だとすれば、長屋門公園は昔の横浜の暮らしを感じる田舎風景です。
華やかな観光施設ではありません。
だからこそ、茅葺屋根、竹林、雑木林、小川などを眺めながらゆっくり過ごすと、静かな時間を楽しめます。
横浜の田舎らしい景色はなぜ残っている?
横浜の里山や田園が残っているのは、「開発されなかった場所が偶然残った」という理由だけではありません。
横浜市では農地や樹林地を保全するさまざまな仕組みを設けています。
その代表例のひとつが「横浜ふるさと村」です。
横浜市は良好な田園景観を持つ農業地域について、農業を続けながら景観を守り、市民が自然や農業に親しめる場所として整備しています。
現在、横浜ふるさと村として紹介されているのが、
- 寺家ふるさと村(青葉区)
- 舞岡ふるさと村(戸塚区)
です。
つまり寺家や舞岡の景色は、単なる「空き地」ではありません。
農家の仕事、地域の暮らし、行政による農地・緑地保全、市民活動などが重なって維持されている景色なのです。
田んぼや畑を見かけたら、そこは写真撮影用につくられた場所ではなく、誰かが農業を続けている仕事場でもあることを忘れないようにしたいところです。
横浜で田舎の風景を見るなら何月がおすすめ?
横浜の田園・里山は一年中歩けますが、景色を重視するなら季節によって楽しみ方が変わります。
| 季節 | 景色 | おすすめ度 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 春 | 新緑・草花・田植え前後の田んぼ | ★★★★★ | 暑すぎず散策しやすい |
| 夏 | 青い田んぼ・深い緑 | ★★★★☆ | 日差しと熱中症に注意 |
| 秋 | 稲穂・収穫風景・色づく里山 | ★★★★★ | 田園風景を楽しみやすい |
| 冬 | 落葉した雑木林・静かな田畑 | ★★★☆☆ | 人が少なく静けさを楽しめる |
写真を撮るなら春から秋が狙い目
いわゆる「日本の田舎」という景色を撮りたいなら、田んぼに水が入る時期から稲刈り前までが分かりやすいでしょう。
水田に空が映る季節、青い稲が一面に広がる季節、稲穂が色づく季節では、同じ場所でもまったく違った写真になります。
ただし、田植え・収穫の時期はその年や田んぼごとに違います。
「○月○日なら必ず黄金色」と断定せず、その年の天候や農作業の進み方によって変わるものとして訪れるのがおすすめです。
高齢者と一緒ならどこがおすすめ?
横浜の田舎を楽しみたい高齢の方や、長距離歩行が難しい方の場合、「里山=森の奥まで歩く必要がある」と考えないことがポイントです。
歩く距離を減らしやすい候補
- 寺家ふるさと村:バスを利用して四季の家周辺を中心に散策
- 和泉川:駅に近い水辺だけを短時間散策
- 長屋門公園:バス利用で徒歩距離を短縮
- 舞岡ふるさと村:虹の家周辺を中心に楽しむ
一方、新治市民の森や舞岡公園の森の中には坂道や土の道があります。
足腰に不安がある場合は「せっかく来たから全部回ろう」とせず、入口周辺だけで帰るくらいの予定にしておくと安心です。
田舎散策で確認しておきたいこと
- 休憩場所があるか
- トイレの位置
- 駅・バス停へ戻る距離
- 坂道や未舗装路の有無
- 夏場なら日陰があるか
- 雨の翌日なら足元がぬかるんでいないか
横浜の田舎風景を楽しむときのマナー
寺家や舞岡を歩くと、「田んぼの近くまで行って写真を撮りたい」と思うことがあるかもしれません。
しかし、田園地帯には観光地とは異なるルールがあります。
農地には入らない
田んぼ、畑、畦、水路などの多くは農家の方が管理している場所です。
撮影のためであっても勝手に立ち入らないようにしましょう。
生活道路をふさがない
細い道でも、農作業用車両や地域の方が日常的に使用しています。
複数人で横に広がったり、三脚を長時間設置したりするのは避けましょう。
動植物を持ち帰らない
市民の森やふるさと村では、植物や生き物を採取せず、その場で観察するのが基本です。
ゴミは持ち帰る
コンビニや観光施設のようにゴミ箱が至るところに設置されているエリアではありません。
飲み物や軽食を持参した場合は、ゴミ袋も用意しておくと安心です。
田園だけではない横浜の「自然の原風景」
横浜の田舎らしさは、田んぼだけではありません。
市内には、谷戸や渓谷、源流域、雑木林など、「横浜=港町」という印象から離れた景色がほかにも残っています。
例えば保土ケ谷区の陣ヶ下渓谷公園では、住宅地の近くとは思えない谷と流れを見ることができます。
田園とは違いますが、「横浜にこんな自然があるの?」という驚きを味わえる場所です。
横浜 田舎の風景についてよくある質問
横浜で一番田舎らしい景色はどこですか?
田んぼと里山が一体になった景色を重視するなら、青葉区の寺家ふるさと村が有力です。横浜市も「昔ながらの横浜の田園風景」が残る場所として紹介しています。戸塚区の舞岡ふるさと村も田園景観が豊かです。
横浜で田んぼが見られる場所はありますか?
あります。寺家ふるさと村、舞岡ふるさと村、新治市民の森周辺などで田んぼを含む田園・谷戸の景色を見ることができます。
電車とバスだけでも行けますか?
はい。寺家ふるさと村は青葉台駅などからバス、新治市民の森はJR十日市場駅から徒歩、舞岡は横浜市営地下鉄舞岡駅を利用できます。長屋門公園も三ツ境駅から徒歩またはバスでアクセスできます。
車椅子やベビーカーでも行けますか?
施設周辺など利用しやすい場所はありますが、里山全体がバリアフリーというわけではありません。新治市民の森や舞岡公園には坂道や土の道もあります。車椅子・ベビーカーの場合は、四季の家、虹の家、水辺公園など施設周辺を中心に計画し、最新のバリアフリー情報を事前に確認することをおすすめします。
横浜の田舎風景は無料で楽しめますか?
寺家ふるさと村や新治市民の森、和泉川周辺、長屋門公園など、散策そのものを無料で楽しめる場所が多くあります。ただし、体験イベントや一部施設・サービスには料金が必要な場合があります。
田園風景を見るのにおすすめの季節は?
春から秋がおすすめです。田植え前後の水田、夏の青々とした稲、秋の稲穂など、季節によって違う田園風景を楽しめます。
横浜 田舎の風景|まとめ
横浜には、みなとみらいや中華街とはまったく違う「もうひとつの横浜」があります。
- 本格的な田園を見たいなら寺家ふるさと村
- 農業と里山を一緒に楽しむなら舞岡ふるさと村
- 森と谷戸田を歩くなら新治市民の森
- 水辺を気軽に散策するなら和泉川
- 古民家と昔の暮らしを感じるなら長屋門公園
特に寺家と舞岡は、横浜市が田園景観を守りながら自然や農業に親しむ場所として整備している「横浜ふるさと村」です。
遠くの山村へ旅行しなくても、電車やバスで少し移動するだけで、田んぼ、畑、雑木林、竹林、小川、古民家のある景色に出会えます。
「休日だけ少し都会から離れたい」
「子どもの頃に見たような風景を歩きたい」
「横浜で人混みを避けて静かに過ごしたい」
そんなときは、港ではなく内陸へ向かってみてください。
横浜の田舎の風景は、観光都市として知られる横浜をもう一度違った目で見直すきっかけになります。