横浜観光で見つけた意味不明なオブジェ特集|思わず二度見する穴場スポット巡り
「これ、何?」が旅の面白さ。横浜で出会う不思議なモニュメントたち
横浜には、横浜中華街の活気、みなとみらいの近未来的な高層ビル群、山手の異国情緒あふれる洋館など、誰もが知る定番の観光スポットが数多く存在します。しかし、そうした王道の観光地を歩いていると、ふと目に留まる“意味不明なオブジェ”に遭遇することはありませんか?
「この形は、何を表しているのだろう?」「なぜ、こんな場所にこれがあるの?」と思わず足を止め、二度見してしまうような、謎めいたオブジェやパブリックアート作品が、実は横浜の街中には点在しています。横浜は、国際的な現代アートの祭典「横浜トリエンナーレ」の開催地でもあり、都市空間そのものをアートの舞台として活用する試みが積極的に行われてきた歴史があります。その結果、説明書きが一切ないまま、街の風景に溶け込んでいる(あるいは、明らかに浮いている)作品も少なくないのです。
今回はそんな“一見すると意味不明、でも強烈に目を引く”、ユニークでちょっとシュールな横浜市内の穴場スポットをご紹介します。一人旅で思索にふけるもよし、カップルや友人と「これは何だろう?」と議論を交わすもよし。SNS映えはもちろん、あなたの旅の記憶に強く刻まれること間違いなしの「横浜的カオス美術」巡りに出かけてみませんか。
記事のポイント4つ
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横浜市内の主要な観光エリアに点在する、思わず二度見してしまう“意味不明なオブジェ”を厳選して紹介します。
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著名なアーティストの作品でありながら、作者や設置の背景が現地ではわからない、その“不思議さ”自体が魅力となっています。
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フォトジェニックであり、ユニークな撮影スポットとしても楽しめる、強烈な存在感を放つ作品群です。
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いつもの散歩が「謎解き」に変わる、“目的地のない旅”の素晴らしいきっかけを提供します。
横浜観光 意味不明なオブジェをめぐる【前半】
象の鼻パークの「山のようなフルーツ」|意味深すぎるアート作品
横浜港の開港の地であり、赤レンガ倉庫と大さん橋を結ぶ絶好のロケーションに位置する「象の鼻パーク」。その開放的な芝生広場に突如として現れるのが、果物をデコレーションケーキのように山積みにした、カラフルで巨大なオブジェです。
これは現代アーティスト・中谷ミチコ氏による「山のようなフルーツ(Fruitful Mountain)」というれっきとした現代アート作品。バナナやブドウ、リンゴやパイナップルなどが非常にリアルに再現されており、遠目にはポップで楽しげな雰囲気に見えます。しかし、近づいてみると、その質感やスケール感に圧倒されます。この作品は、横浜開港150周年を記念して整備された象の鼻パーク(横浜市公式サイト)の開園当初から設置されています。
その意味は非常に抽象的で、公式な解説板もありません。一説には、戦後の食糧難の時代や、港町横浜の「豊穣」、あるいは人々が集う「祝祭」をモチーフにしているとも言われており、解釈は完全に鑑賞者に委ねられています。青い空と海を背景にそびえるカラフルな果物の山は、横浜港の歴史と未来を静かに見つめているのかもしれません。
山のようなフルーツ(Fruitful Mountain)
- アクセス:みなとみらい線「日本大通り駅」から徒歩約5分。
- 設置場所:象の鼻パーク 芝生広場
- ポイント:休憩施設「象の鼻テラス」内にも、空間全体を使った不思議なアートが常設展示されています。
桜木町駅前「モクモク ワクワク ヨコハマ ヨーヨー」|名前もオブジェも意味不明
JR桜木町駅の駅前広場、ランドマークタワーへと続く動く歩道の入り口に、堂々と設置されているカラフルで巨大なリング状のオブジェ。その正式名称は「モクモク ワクワク ヨコハマ ヨーヨー」。そのユニークすぎる名前からして謎めいているこのオブジェは、多くの市民や観光客に親しまれています(あるいは、見慣れすぎて意識されていません)。
これはアーティスト・高橋啓祐氏の作品で、2005年に開催された「横浜トリエンナーレ2005」に関連して設置されたパブリックアートです。地元民からは「どこがヨーヨーで、何がモクモクなのか?」とツッコミを受けることも多いですが、実はその色の配置が、横浜市の木(イチョウ)や花(バラ)、港の青などを抽象的に表現しているとも言われています。しかし、その真意は公式にも明記されていません。
昼間はそのカラフルな色彩が青空に映えますが、夜間には内部からライトアップされ、近未来的なみなとみらいの夜景と相まって、さらに幻想的で不思議な存在感を放ちます。横浜の玄関口で、このオブジェは今日も「?」と「!」を同時に提供し続けています。
モクモク ワクワク ヨコハマ ヨーヨー
- アクセス:JR根岸線「桜木町駅」東口(みなとみらい側)出てすぐ。
- 作者:高橋啓祐
- ポイント:待ち合わせ場所の目印として非常に優秀ですが、その名前を口に出して言う人は少ないかもしれません。
横浜観光 意味不明なオブジェに隠された魅力【後半】
横浜赤レンガ倉庫「ねじれた塔」|ねじれているのが当然のように存在する謎
横浜赤レンガ倉庫の海側、開放的な広場の一角に、錆びた鉄でできた無骨な塔が立っています。一見すると古い港湾設備のようにも見えますが、よく見ると、その塔全体がまるで雑巾を絞るかのように「ねじれた形状」になっています。
どうやら螺旋(らせん)をモチーフにしたモニュメントのようですが、驚くべきことに、その周囲には作品名や作者、設置意図を示す解説板が一切見当たりません。歴史的な赤レンガ倉庫と、このシュールなねじれた塔との対比は、訪れる観光客に強烈な違和感を与えます。
このオブジェは、過去に開催されたアートイベント(ヨコハマトリエンナーレや、障害のあるアーティストと多様な市民が協働する「ヨコハマパラトリエンナーレ」など)の期間中に出現し、イベント終了後も何故かそのまま定着したものと考えられていますが、その明確な記録は公式には確認しづらい状況です。背景を知らない観光客は、ただ「なんかすごいものがねじれている!」と驚き、思い思いのアングルで写真を撮っていきます。
ねじれた塔(仮称)
- アクセス:みなとみらい線「馬車道駅」または「日本大通り駅」から徒歩約10分。赤レンガ倉庫2号館の海側。
- ポイント:解説がないことこそが、このオブジェの最大のミステリーであり魅力です。
港の見える丘公園「空中の扉」|開かずのドア、その先には何が?
横浜港の絶景や美しいバラ園が人気の定番観光スポット「港の見える丘公園」。その一角(フランス山エリアからイギリス館へ向かう途中)に、ひっそりと、しかし確実に異彩を放つオブジェが設置されています。それが「空中の扉」です。
その名の通り、アンティーク調の青いドアが、地面から少し浮いた形で自立しています。ドアノブはありますが、当然ながら開きませんし、ドアの先には壁も部屋もありません。ただ、公園の木々が広がるだけです。
設置当初から「どこでもドア?」「異世界への入り口?」と話題になりましたが、アーティスト名や作品の詳細は現地に一切記されておらず、まさに“意味不明”の極致。しかし、その不思議な存在感は大きく、「開かない扉」の前でポーズをとる写真映えスポットとして、知る人ぞ知る密かな人気を集めています。ここを訪れた人々は、扉の先に何があるのかを想像せずにはいられません。
空中の扉(仮称)
- アクセス:みなとみらい線「元町・中華街駅」6番出口から徒歩約8分。港の見える丘公園内。
- ポイント:バラの季節や紅葉の季節に訪れると、背景とのコントラストがより一層シュールな雰囲気を醸し出します。
黄金町エリア「路地の椅子群」|誰が座るのか不明な無人ベンチたち
京急線の日ノ出町駅から黄金町駅にかけての高架下エリアは、かつて違法な風俗店が軒を連ねていた場所でした。現在は、アートによる街の再生プロジェクト「黄金町バザール」が進行し、アーティストのアトリエやカフェがおしゃれに点在するエリアへと変貌を遂げています。
そんな黄金町の路地裏や、ふとした空き地に、ぽつんと椅子だけが置かれているスペースが点在しています。それも一つではなく、デザインも素材もバラバラな木製や鉄製の椅子が、複数。そして多くの場合、誰も座っていません。
これは「黄金町バザール」関連のアートプロジェクトの一環であり、街の「居場所」をテーマにした作品群です。しかし、詳しい説明板などがないため、事情を知らない訪問者にとっては、ただ「誰も座らない謎の椅子たち」が街中に存在しているだけに見えます。この何気ない風景にこそ、街の暗い過去と再生への願いという深い意味を感じさせる、現代アートの真髄ともいえる空間です。NPO法人黄金町エリアマネジメントセンターの公式サイトでは、こうした取り組みの背景を知ることができます。
黄金町の椅子群
- アクセス:京急線「黄金町駅」または「日ノ出町駅」から徒歩すぐのエリア一帯。
- ポイント:高架下の壁画アートなどと合わせて巡るのがおすすめです。椅子は作品である可能性が高いため、座る際は自己責任で。
日ノ出町の「たまごの山」|タマゴ?石?宇宙?何を感じるかはあなた次第
最後に紹介するのは、京急日ノ出町駅の改札を出てすぐ、大岡川沿いの遊歩道脇に突然現れるオブジェ群です。大小さまざまな、滑らかな曲線を描く楕円形の石が、まるで産み落とされたかのように積まれており、“たまごの山”のような不思議な風貌をしています。
これは彫刻家・井上麦氏による「ひので“タマ”ご(HINODE “TAMA” GO)」という作品群で、大岡川プロムナードの整備に合わせて設置されたものです。一部では「地球や生命の起源を表している」という壮大な説もありますが、もちろん公式な情報は現地にはありません。
これらの「たまご」は単なる鑑賞用のオブジェではなく、市民が触れたり、腰掛けたりすることも想定されています。天気の良い日には、子どもがよじ登ったり、カップルが写真を撮ったりする様子がほほえましい、日常に溶け込んだ不思議で楽しいアートスポットです。
ひので“タマ”ご(HINODE “TAMA” GO)
- アクセス:京急線「日ノ出町駅」改札出てすぐ。
- 作者:井上麦
- ポイント:春には大岡川の桜並木と「たまご」のコラボレーションが楽しめます。
横浜観光 意味不明なオブジェまとめ
横浜の街を巡ると、多くの不思議なオブジェに出会います。その魅力は以下の点に集約されます。
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横浜には「一見すると意味不明だが、なぜか目が離せない」強烈なインパクトを持つパブリックアートが点在しています。
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あえて詳細な解説板を設置しないことが、かえって鑑賞者の想像力をかきたて、作品の魅力を深めています。
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王道スポットとは一味違う、ユニークな写真映えスポットとしてSNS(InstagramやX)にもおすすめです。
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普段の何気ない観光や散歩が、「これは何だろう?」と考える“謎解き気分”の知的エンターテイメントに変わります。
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各地の公式リンクやアートイベント(横浜トリエンナーレなど)の過去の案内と照らし合わせながら探索することで、その背景を知る楽しみも深まります。
旅先でふと出会う「これはなんだ?」という小さな驚きと疑問。それこそが、ありふれた観光地巡りを、あなただけの個性的で記憶に残る「旅」へと変える、最高のスパイスになります。
横浜は、ただの美しい観光都市ではありません。過去と未来、現実と幻想、秩序とカオスが交差する、非常に刺激的な街です。あなたもぜひ次の休日には、ガイドブックを閉じて、これらの意味不明なオブジェを探す“感性の冒険”に出てみませんか?