横浜観光 地元民 知らない|鶴見区の穴場で感じる異国と自然の街歩き
知られざる鶴見の魅力。地元民でも気づかない異国情緒と緑の散歩道
横浜市鶴見区と聞いて、多くの人がどのようなイメージを抱くでしょうか。京浜工業地帯の一角をなし、湾岸線から見える工場の煙突や、鶴見線沿線のインダストリアルな風景を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、そのイメージは鶴見区が持つ多面的な魅力のほんの一面に過ぎません。実はこの鶴見区こそ、横浜観光 地元民 知らないというキーワードが最もふさわしい、奥深い“穴場スポット”の宝庫なのです。
鶴見は、戦前から戦後にかけて日本の近代化を支える労働者が全国、そして世界から集まった歴史を持ちます。特に沖縄や南米のブラジル・ペルー出身者が多く住むことから、独自の多文化コミュニティが形成され、“日本の中の異国”とも言える独特の雰囲気を醸し出しています。一方で、広大な境内を誇る曹洞宗の大本山「總持寺」が静かに佇み、一級河川である鶴見川がゆったりと流れるなど、豊かな自然と歴史にも恵まれています。派手な観光地化がされていないからこそ、そこに住む人々の温かさや、ありのままの日常風景が色濃く残っているのが最大の魅力です。
今回は、鶴見区を歩きながら「横浜にこんな場所があったんだ!」と思わず声を上げてしまうような、知る人ぞ知る魅力的な観光ルートを具体的かつ詳細にご紹介します。横浜に詳しいと自負する方にこそ体験してほしい、新たな発見に満ちた街歩きへご案内します。
この記事でわかる4つのポイント
- 鶴見区に眠る、ガイドブックには載らない“観光地化されていない”本物の穴場スポット
- 沖縄文化、荘厳な寺院、穏やかな川辺、ノスタルジックな鉄道まで、多様な魅力が凝縮されたエリアであること
- 自分のペースでのんびり歩けてアクセスも良好、心も体も疲れにくい理想的な観光モデルコース
- 地元を再発見したい方、静かな一人旅をしたい方、日本で気軽に外国文化に触れたい方にも最適であること
横浜観光 地元民 知らないスポットを鶴見区で歩こう【前半】
それでは、鶴見区の隠れた魅力を探る旅に出かけましょう。前半では、異国情緒あふれる商店街から、心を静める禅寺、そしてノスタルジックな鉄道風景まで、鶴見ならではの多様な顔を持つ4つのスポットを深掘りしていきます。
1. 鶴見沖縄タウン(潮田銀座商店街)|まるで沖縄の下町に迷い込んだような街並み
京急鶴見駅から少し歩いた先にある「潮田(うしおだ)銀座商店街」は、鶴見が誇る“リトルおきなわ”の中心地です。戦後、京浜工業地帯で働くために沖縄から移り住んだ人々がコミュニティを形成し、今もなおその文化が色濃く根付いています。一歩足を踏み入れると、本格的な沖縄そばを提供する食堂や、三線の音色がどこからか聞こえてくる居酒屋、そしてサーターアンダギーや島らっきょう、泡盛といった沖縄の特産品を扱う食料品店が軒を連ねています。
商店街のアーケードには沖縄らしい赤瓦の装飾やシーサーの置物、琉球紅型の壁画などが点在し、まるで那覇の市場通りに迷い込んだかのような錯覚を覚えます。観光地として整備されていないからこそ、そこに流れる時間や人々の会話は本物そのもの。地元の人々と観光客が自然に交わる、温かい空気がここにはあります。毎年夏に開催される「鶴見ウチナー祭」は、沖縄の音楽やエイサーが披露され、多くの人で賑わう地域の一大イベントです。(参考:横浜市公式観光サイト「Find Your Yokohama」)
アクセス:京急本線「京急鶴見駅」から徒歩約12分、JR鶴見線「浅野駅」から徒歩約5分
見どころ:沖縄料理店、沖縄食材店、商店街の装飾
楽しみ方:沖縄そばの食べ比べ、商店街での食材探し、沖縄文化の雰囲気を味わう散策
2. 鶴見川沿いの散策路と潮鶴橋|水辺で深呼吸できる心安らぐ癒し空間
鶴見区の中心をゆったりと流れる鶴見川は、地元住民にとって欠かせない憩いの場です。河川敷は「鶴見川サイクリングコース」としても整備されており、ウォーキングやジョギング、犬の散歩などを楽しむ人々の姿が絶えません。特に、鶴見駅東口からほど近い「潮鶴橋(しおつるばし)」周辺は視界が開け、広々とした空と川面のコントラストが美しい絶景ポイントです。
川沿いにはベンチが点在しており、テイクアウトしたコーヒーを片手に読書をしたり、ただぼんやりと水鳥を眺めたりと、思い思いの時間を過ごすことができます。人も少なく、商業施設の喧騒から離れて静かに過ごせるこの場所は、まさに“都会のオアシス”。川のせせらぎと頬をなでる風が、日々の疲れを優しく癒してくれます。国土交通省京浜河川事務所による水質改善や環境保全の取り組みにより、近年ではアユの遡上も確認されるなど、その自然環境は豊かさを増しています。(出典:国土交通省 関東地方整備局 京浜河川事務所)
アクセス:JR「鶴見駅」東口から徒歩約5分
見どころ:潮鶴橋からの眺め、整備された遊歩道、季節の草花や野鳥
楽しみ方:ウォーキング、サイクリング、ピクニック、夕景観賞
3. 鶴見線沿線の無人駅めぐり(海芝浦・国道駅)|ノスタルジー漂う“非日常”への小旅行
横浜、ひいては首都圏で最もディープな鉄道路線と称されるのがJR鶴見線です。工場地帯を縫うように走るこの路線には、旅情を掻き立てるユニークな駅が点在します。その代表格が、終点の「海芝浦駅」。なんとこの駅は東芝エネルギーシステムズの敷地内にあるため、関係者以外は改札口から外に出ることができません。しかし、ホームのすぐ目の前には京浜運河が広がり、まるで海に浮かんでいるかのような絶景が楽しめます。その唯一無二のロケーションから、SNSを中心に「日本一海に近い駅」として話題を集めています。
一方、鶴見駅から一駅の「国道駅」は、まるで時が止まったかのような、昭和の香りが色濃く残る無人駅です。開業当時(1930年)の面影を残すコンクリートとレンガ造りのアーチ型ガード下は薄暗く、どこかミステリアスな雰囲気。使い古された木製のベンチや古びた階段は、数々の映画やドラマのロケ地にもなってきました。鉄道ファンはもちろん、レトロな風景や写真が好きな方にとって、たまらない魅力を持つ空間です。
アクセス:JR「鶴見駅」にて鶴見線に乗り換え
注意点:海芝浦駅は改札外に出られません。また、鶴見線は日中の運行本数が少ないため、事前に時刻表の確認が必須です。
楽しみ方:海芝浦駅での写真撮影、国道駅のレトロな雰囲気の散策
4. 総持寺|静寂に包まれる鶴見の“心の拠り所”
鶴見駅から徒歩圏内に、約15万坪(東京ドーム約11個分)もの広大な敷地を誇る曹洞宗大本山「總持寺(そうじじ)」があります。福井県の永平寺と並ぶ、禅の修行道場として国内外にその名を知られる格式高い寺院です。一歩境内に足を踏み入れると、街の喧騒が嘘のような静寂と澄んだ空気に包まれます。
三門や仏殿といった歴史的価値の高い伽藍が緑豊かな木々の中に静かに佇み、訪れる人の心を穏やかにしてくれます。春には梅や桜、秋には見事な紅葉が境内を彩り、四季折々の美しい風景を楽しむことができます。観光客でごった返すことはほとんどなく、地元の人が散歩がてら静かに手を合わせに来る、そんな穏やかな時間が流れています。境内には精進料理の考え方を取り入れたカフェ「寮(りょう)」も併設されており、心と体に優しい食事をいただくこともできます。石原裕次郎氏の墓所があることでも知られています。(公式サイト:曹洞宗大本山總持寺)
所在地:横浜市鶴見区鶴見2-1-1
アクセス:JR「鶴見駅」西口、京急本線「京急鶴見駅」から徒歩約7分
拝観料:無料(一部施設を除く)
横浜観光 地元民 知らない 鶴見区編モデルコース【後半】
ご紹介したスポットを効率よく巡るための一日モデルコースをご提案します。鶴見の多様な魅力を満喫しながら、心身ともにリフレッシュできるプランです。
| 時間 | 場所 | 過ごし方 |
|---|---|---|
| 10:00 | JR鶴見駅 スタート | 西口から出て、まずは大本山總持寺へ。朝の清々しい空気の中、広大な境内を散策します。 |
| 10:15~11:45 | 總持寺 散策 | 歴史ある伽藍を巡り、心を静める時間。仏殿で手を合わせ、四季折々の自然を楽しみます。 |
| 12:00~13:30 | 潮田銀座商店街でランチ | 京急鶴見駅方面へ移動し、沖縄タウンへ。本格的なソーキそばやタコライスなど、本場の沖縄料理でランチタイム。 |
| 13:30~14:30 | 沖縄タウン 街歩き | 食後は商店街をぶらり散策。沖縄食材店をのぞいたり、サーターアンダギーを食べ歩きしたり。異国情緒を楽しみます。 |
| 14:45~16:00 | 鶴見線ミニトリップ | 鶴見駅に戻り、鶴見線に乗車。レトロな国道駅で途中下車し、終点の海芝浦駅で海の絶景を堪能する小旅行へ。 |
| 16:15~17:00 | 鶴見川沿いを散策 | 鶴見駅東口から鶴見川へ。夕暮れ時の川辺をのんびり歩き、美しい景色に癒やされるひととき。 |
| 17:00 | 鶴見駅周辺 カフェタイム | 駅周辺のカフェで一日の思い出を振り返りながら休憩。地元のベーカリーでお土産を買うのもおすすめです。 |
午前:總持寺で心を整え、穏やかな散歩からスタート
一日の始まりは、荘厳な總持寺から。朝の静寂に満ちた境内で心を整え、ゆっくりと流れる時間に身を任せましょう。歴史ある建築物と美しい庭園が、日常の忙しさを忘れさせてくれます。
昼:潮田銀座商店街で本場の沖縄ランチと探索
總持寺で心を満たした後は、お腹を満たしに沖縄タウンへ。熱々のソーキそばや、ジューシーなラフテー丼など、数ある沖縄料理店からお気に入りを見つけるのも楽しみの一つ。食後は個性的な個人商店や食品店を覗きながら、まるで沖縄を旅しているかのような気分で街歩きを楽しみましょう。
午後:鶴見線の“異空間”体験と水辺の癒し
午後は、鶴見駅から非日常へと誘う鶴見線へ。昭和レトロな国道駅と、海の絶景が広がる海芝浦駅をめぐる小旅行は、忘れられない思い出になるはず。旅の終わりには鶴見川のほとりを歩き、夕陽に染まる川面を眺めながら、一日の余韻に浸りましょう。
横浜観光 地元民 知らない 鶴見区編:まとめ
これまでご紹介してきたように、鶴見区にはまだ多くの人に知られていない、深く豊かな魅力が溢れています。
- 鶴見には、観光地化された場所とは違う“リアルな横浜の暮らしと風景”が息づいている
- 異文化、自然、歴史、産業遺産が徒歩圏内に凝縮され、一日で多様な体験ができる密度の高いエリア
- 飾らない街だからこそ、予期せぬ風景や人との素の出会い、心に残る発見がある
- 横浜をよく知る人、リピーターほど新鮮な驚きを感じられる、まさに穴場中の穴場
- 起伏が少なく歩きやすい“疲れ知らずのコース”は、シニア世代や小さなお子様連れの家族にも最適
横浜のきらびやかなイメージに少し疲れてしまったあなたにこそ、おすすめしたい“ありのままの横浜”がここにあります。地元の人ですら見過ごしているかもしれない鶴見の奥深い魅力。次の休日は、横浜観光の新たな扉を開くべく、鶴見を訪れてみてはいかがでしょうか?きっと、あなただけの特別な風景が見つかるはずです。