横浜開港記念日は休日?|地元だけが知る本当のお休みの理由と街の物語
毎年6月2日「横浜開港記念日」ってどんな日?本当に休日なの?
「横浜開港記念日は休日?」
この素朴でありながら核心を突く疑問は、横浜市民や近隣エリアにお住まいの方、あるいは横浜に通勤・通学する方なら一度は感じたことがあるのではないでしょうか。
スマートフォンのカレンダーアプリや手帳を見ても、“祝日”や“国民の休日”とはどこにも書かれていません。しかし、地元の市立小中学校は一斉にお休みになり、街の中心部、特にみなとみらいエリアでは大規模なイベントが開催され、夜には花火が打ち上がります。
横浜に住んでいる人にとっては「6月2日は特別」、でも全国的には「ただの平日」。この独特の“温度差”こそが、「横浜開港記念日」の面白さであり、少し不思議な存在感の理由です。
この記事では、全国的な知名度はないかもしれないけれど、横浜市民のアイデンティティ(地元愛)に深く根差した「横浜開港記念日」について、その歴史的背景から現代の楽しみ方まで、地元目線で徹底的に深掘りします。
本記事を読めば、以下の疑問がすべてクリアになるはずです。
・横浜開港記念日は法的に「休日」なのか、それとも「休業日」なのか?
・その歴史的な由来と、横浜の街を変えた「開港」の真の意味
・なぜ地元の公立学校だけが休みになるのか、その明確な理由
・役所や一般企業、銀行や病院の対応はどうなっているのか
・この日ならではの限定イベントや、街の楽しみ方、観光のベストシーズンと言われる理由
横浜の歴史と未来が交差する、この特別な一日を一緒に解き明かしていきましょう。
● 記事のポイント4つ
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「横浜開港記念日」は祝日?公休日?その法的な位置づけと「学校休業日」という仕組みの解説
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地元横浜市内でのお休みルール。学校、市役所、区役所、そして民間企業のリアルな対応の違い
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開港記念日の歴史と由来。ペリー来航から160年以上、横浜の街が「世界への窓口」としてどう変わったか
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記念日ならではのイベント総まとめ。開港祭の花火から、施設無料開放、観光情報まで
横浜開港記念日は休日?|そもそもどんな日なのかを解説
横浜開港記念日とは?歴史と由来
「横浜開港記念日」は、毎年6月2日に横浜の歴史的な転換点を祝う、非常に重要な記念日です。
この日は、1859年(安政6年)に、それまで小さな漁村に過ぎなかった横浜が、国際貿易港として正式に「開港」した日を記念して制定されました。
この開港は、1854年のペリー来航(日米和親条約)と、それに続く1858年の日米修好通商条約の締結による、日本の長い鎖国政策の終わりを象徴する出来事でした。横浜は、函館、長崎などと共に、日本が世界に向けて門戸を開くための最前線となったのです。
この日を境に、横浜には外国の商人や文化が怒涛のように流れ込み、生糸貿易の拠点として急速に発展。日本の近代化と国際化を牽引する大都市へと変貌を遂げる、まさにその「誕生日」が6月2日なのです。
なぜ6月2日?
歴史的な記録では、日米修好通商条約に基づき横浜港が開かれたのは、1859年7月1日(旧暦の安政6年6月2日)とされています。当初はこの旧暦の6月2日を記念日としていましたが、後に新暦(太陽暦)の採用に伴い、日付がそのままスライドされ、新暦の「6月2日」が公式な記念日として定着しました。この日は、横浜が「世界に開かれた街」として、新しい歴史を歩み始めた輝かしいスタートの日として、今も市民に大切にされています。
「休日」なのは誰?全国区?それとも地元限定?
「横浜開港記念日」の最も特徴的な点は、その「お休み」の範囲が非常に限定的であることです。
まず大前提として、この日は「国民の祝日に関する法律」によって定められた国民の祝日や国の法律による公休日ではありません。
しかし、横浜市民(特に子育て世帯)にとっては「休日」という認識が強く根付いています。その理由は、横浜市が定める条例に基づき、市内の公立小・中・高校のほとんどが“学校休業日”として定められており、児童・生徒は授業がお休みになるためです。
では、具体的に誰が休みで、誰が通常通りなのでしょうか?その違いを明確に見てみましょう。
【6月2日】横浜開港記念日の対応まとめ
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【学校(お休み)】
横浜市立の小・中学校、高等学校、特別支援学校のほとんどが「開港記念日=お休み」となります。これは横浜市教育委員会が「横浜市立学校の管理運営に関する規則」において、6月2日を休業日として定めているためです。(※ただし、私立学校や国立大学の附属学校は、各学校の判断によるため、必ずしも休みとは限りません) -
【役所・公的機関(通常通り)】
横浜市役所、各区役所、行政サービスコーナーなどは、基本的に通常通り業務を行います。国の機関(法務局や税務署など)や、神奈川県庁、警察、消防、郵便局、銀行、病院などもすべて平常運転です。 -
【民間企業(通常通り)】
横浜市内に本社を置く企業であっても、一般の民間企業はカレンダー通り、通常営業が基本です。国家公務員や一般の会社員も基本的に休みにはなりません。ただし、一部の地元密着型企業では、この日に合わせて社内イベントを行ったり、福利厚生として特別休暇を推奨したりする独自の取り組みが見られることもあります。
つまり、**「横浜市民にとっては特別な日=子どもたちと、その家族にとっては“休日”」**というのが、この日の実態に最も近い位置づけと言えるでしょう。
なぜ学校だけ休み?その理由と歴史
なぜ横浜市内の公立学校だけが、法律上の祝日でもない6月2日を休みにするのでしょうか?
このユニークなルールは、単なる慣習ではなく、昭和の時代から続く「横浜市の明確な方針」と「地元愛」の表れです。
主な理由は以下の通りです。
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1.「ふるさと横浜」への理解を深めるため
横浜市は、この開港記念日を「ふるさと横浜を想う日」と位置づけています。学校を休業日とすることで、子どもたちが横浜の歴史や文化に触れる機会を創出することが目的です。開港記念日には、後述する「横浜開港祭」をはじめ、街をあげての式典や記念行事が数多く開催されます。子どもたちがこれらの行事に参加しやすくし、自らが住む街のルーツを学ぶ日として活用してほしいという狙いがあります。 -
2.独自の学校休業日としての定着
夏休みや冬休みといった法定の休業日とは別に、横浜市が独自に定める「学校休業日」として、市民生活に完全に定着しています。横浜で育った保護者世代にとっても「6月2日は開港記念日で学校が休み」というのは当たり前の感覚です。「昔はこの日に家族で出かけた」「開港祭の花火が楽しみだった」といった共通の思い出を持つ市民も多く、世代を超えて受け継がれる地元の文化となっています。
このため、地元の子どもたちや家族連れにとっては、カレンダーには載らない“少し特別なボーナス休日”として、毎年心待ちにされる一日となっているのです。
横浜開港記念日は休日?|イベント・観光・街の盛り上がり
横浜開港記念日ならではのイベントとお楽しみ
6月2日の当日、およびその前後の週末には、横浜市内各所、特にみなとみらい地区や関内地区を中心に、開港記念イベントが盛大に開催されます。学校が休みになる子どもたちだけでなく、多くの観光客も訪れ、街全体がお祭りムードに包まれます。
開港記念日(6月2日)の主要イベント・特典
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開港記念式典
横浜市開港記念会館(ジャックの塔)などで、市長や市議会関係者、各国の大使・領事などを招いて厳かに開催される公式式典です。 -
横浜開港祭
最大の目玉イベントです。例年6月1日・2日(またはその前後の週末)に、パシフィコ横浜・臨港パーク一帯で開催されます。国内外のアーティストによるライブステージ、グルメ屋台、海上でのイベント、体験ブースなどが多数出展します。フィナーレを飾る大規模な花火大会(ビームスペクタクルinハーバーなど)は、横浜の夜景と花火が融合する圧巻のショーとして絶大な人気を誇ります。(※詳細は必ず 横浜開港祭オフィシャルサイトをご確認ください) -
市内施設や観光スポットの無料開放・割引キャンペーン
この日を記念し、横浜市内の多くの公共施設や観光名所で入場料が無料になったり、割引が適用されたりします。過去には「横浜マリンタワー」「横浜市営交通(バス・地下鉄)の子ども料金無料」「シーバス(水上バス)の割引」などが実施されました。博物館や美術館でも特別企画展が行われることがあります。 -
地元商店街や横浜中華街のフェア・セール
元町商店街や横浜中華街、馬車道など、歴史ある商店街でも「開港記念セール」や限定メニューの提供などが行われ、街全体で記念日を盛り上げます。
これらのイベントは、横浜市民が自分たちの街の歴史を祝い、その恩恵を享受する日であると同時に、市外からの観光客や来場者にも開かれたお祭りです。
地元に深く根ざした伝統的なお祭りの雰囲気と、みなとみらいの洗練された現代的な風景が融合する、一年で最も横浜らしいエネルギーを感じられる時間と言えるでしょう。
横浜観光の“ベストシーズン”にあたる理由
横浜開港記念日が設定されている6月上旬は、観光地としての横浜を訪れる上で、まさに「ベストシーズン」の一つと言えます。
本格的な梅雨入り前の、一年でも特に爽やかで過ごしやすい気候であることが多く、日差しはあっても湿度が低いため、街歩きに最適です。
この時期の横浜は、花々にも彩られます。
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港の見える丘公園や山下公園では、春のバラが見頃のピークを迎えているか、あるいはその名残を楽しむことができます。
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また、少し足を伸ばせば、三渓園や八景島などで、梅雨の主役であるアジサイが咲き始め、美しいグラデーションで目を楽しませてくれます。
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歴史的建造物をめぐる旅もおすすめです。開港の歴史を今に伝える「横浜三塔(キング:神奈川県庁本庁舎、クイーン:横浜税関、ジャック:横浜市開港記念会館)」を巡るウォーキングも、この季節なら快適です。
海辺で潮風を感じながら大さん橋のデッキを散歩したり、赤レンガ倉庫のテラス席でひと休みしたり、夜は開港祭の花火を楽しんだり──。
地元民はもちろん、横浜を初めて訪れる方にとっても、歴史・自然・現代都市が一体となった横浜の魅力を存分に味わえる、絶好のタイミングなのです。
開港記念日によくある質問Q&A
Q:横浜開港記念日は全国的な祝日ですか?
→ いいえ、違います。「国民の祝日に関する法律」に定められた祝日ではなく、日本全国で適用される休日ではありません。
あくまで横浜市が独自に定めた「記念日」です。
Q:学校や会社はお休みですか?
→ 横浜市立の多くの学校(小・中・高)は「学校休業日」としてお休みになります。
一方で、市役所、区役所、銀行、郵便局、そしてほとんどの民間企業はカレンダー通り、通常営業です。
Q:イベントやパレード、花火大会は誰でも参加できますか?
→ はい、横浜開港祭などの主要イベントは、市民・観光客を問わず誰でも無料で参加・観覧できます(一部、有料観覧席や事前申込が必要な体験プログラムを除く)。
詳細は各イベントの公式サイトで最新情報をご確認ください。
Q:この日にしか体験できないことは?
→ やはり「横浜開港祭」の盛大なイベントと、フィナーレの花火大会が最大の魅力です。また、この日限定で実施される市内各所の施設(博物館、動物園、観光スポットなど)の入場料無料化や割引サービスは、お得に横浜を楽しむ絶好のチャンスです。
横浜開港記念日は休日?|まとめ
最後に、この記事の要点をまとめます。
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「横浜開港記念日」は毎年6月2日。1859年に横浜港が世界に開かれた「横浜の誕生日」を祝う地元の記念日です。
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全国共通の祝日ではありませんが、横浜市立の学校は「学校休業日」としてお休みになる、地元限定の特別な日です。
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市役所や一般企業は通常営業ですが、みなとみらい地区を中心に「横浜開港祭」などの大規模イベントが開催され、街は賑わいます。
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気候も良く、無料開放や花火もあるため、横浜の歴史と現代の文化を一度に体感できる絶好の機会です。
横浜開港記念日は休日?
その答えは「全国的には平日だが、横浜の子どもたちと、その歴史を尊ぶ市民にとっては、年に一度の“特別な休日”」です。
カレンダーには載らない“地元だけが知っている特別な休日”が、横浜の街と人々のアイデンティティを強く結びつけています。
この日をきっかけに、横浜が歩んできた歴史に思いを馳せ、未来へ続く街の活気を感じに、ぜひ横浜へ出かけてみませんか?