大和市はスラム街?いちょう団地の治安やばい説の真実と魅力
インターネットで神奈川県の大和市やその周辺情報について調べていると、ふと検索候補に現れる「スラム街」という衝撃的な言葉。これを見てドキッとしたことはありませんか?「えっ、日本にスラムなんてあるの?」「治安はやばい場所なのかな」「近づかない方がいいのかな」と、不安や好奇心が入り混じった気持ちになる方も多いはずです。
特に、大和市と横浜市の境にある「県営いちょう団地」周辺は、外国籍の方が多く住んでいることから、ネット掲示板やSNSで様々な噂が飛び交っています。私自身も最初は「ちょっと怖い場所なのかな」と身構えていました。でも、実際に現地を歩き、歴史やデータを調べてみると、そこには単なる「危険地帯」という言葉では片付けられない、深く、そしてたくましい世界が広がっていました。
この記事では、ネットの噂に惑わされず、大和市のいちょう団地エリアのリアルな姿を知りたいあなたのために、私が現地で感じた空気感と客観的な事実をありのままにお伝えします。
- ネット上で「スラム街」「スラム化」と噂されてしまう本当の理由
- 警察の犯罪データに基づいた、客観的でリアルな治安状況
- 日本にいながらパスポートなしで海外旅行気分を味わえる現地の魅力
- もし住むとしたら?家賃相場のメリットと生活上の注意点
大和市がスラム街と呼ばれる理由と治安の実態
まず最初に、なぜこの地域が「スラム」という、現代の日本には似つかわしくない強烈な言葉で表現されてしまうのでしょうか。その背景にある歴史的な事情と、皆さんが一番気にされているであろう「治安の現実」について、詳しく掘り下げてみたいと思います。ネット上の「やばい」という噂と実際のデータには、意外なギャップがあることが見えてきました。
有名ないちょう団地がやばい場所という誤解
「大和のスラム」と検索して真っ先に出てくるのが、大和市と横浜市泉区の境目にまたがる巨大な集合住宅群、「いちょう団地」です。全3,600戸以上という圧倒的な規模を誇るこの団地は、ネット上では時折「日本の九龍城」「無法地帯」などと大げさに形容されることがあります。
実際に現地を訪れてみると、確かにその独特の迫力に圧倒されます。1971年(昭和46年)から入居が始まった建物は、コンクリートの質感がむき出しで、現代の洗練されたマンション群とは明らかに違う空気を放っています。給水塔がそびえ立ち、エレベーターのない中層階の棟が整然と並ぶ景色は、まるで昭和の時代で時計が止まっているかのようです。

横浜で現実逃避作成イメージ
しかし、ここで強調しておきたいのは、ここは行政(神奈川県や横浜市など)が管理する正規の公営住宅だということです。電気、ガス、水道といったライフラインは当然ながら完備されていますし、敷地内の植栽も管理されています。「スラム」の本来の定義である「インフラの欠如」や「行政の放棄」、「不法占拠」といった状態には全く当てはまりません。
ではなぜスラムと呼ばれるのか。それは、「建物が古く、巨大で、独特の威圧感がある」という視覚的なインパクトが、ネット上で面白おかしく増幅され、「スラム」という記号として定着してしまった側面が強いと言えるでしょう。
なぜ外国人が多く集まっているのか
この地域を語る上で欠かせないのが、極めて多国籍な住民の存在です。現在、いちょう団地の居住者の約2割以上、数千人規模で外国籍の方々が暮らしていると言われています。日本全国を見渡しても、これほど外国人が集中している地域は稀です。
歴史の起点は「インドシナ難民」
なぜこれほど外国人が多いのか。それには明確な歴史的理由があります。きっかけは、ベトナム戦争終結後に日本政府が設置した「インドシナ難民定住促進センター」が大和市内にあったことです。
センターでの研修を終えた難民の方々が、入居審査が比較的スムーズで、家賃も手頃だったこの地域の公営住宅(いちょう団地)に定住し始めたのが全ての始まりでした。彼らはここで家族を持ち、コミュニティを形成していきました。

横浜で現実逃避作成イメージ
現在は「技能実習生」や「留学生」も増加
さらに近年では、初期の定住者だけでなく、ベトナムからの技能実習生や留学生といった若い世代、さらには中国、南米(ペルーやブラジル)、カンボジア、ラオスなど、10カ国以上の国籍の人々が集まっています。「同郷の人がいるから安心」「食材が手に入る」という理由で、自然と人が人を呼ぶサイクルができあがっているのです。これはスラム化というよりは、多文化コミュニティの「成熟」と呼ぶ方がふさわしいかもしれません。
犯罪データが示す実際の治安レベル
「スラム街」という言葉とセットで語られるのが「犯罪」です。暴力事件や抗争が日常茶飯事という映画のようなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、客観的なデータを見ると少し違った実態が見えてきます。
神奈川県警察が公表している犯罪統計データを確認してみましょう。
(出典:神奈川県警察「刑法犯 認知件数」)
このデータを分析すると、いちょう団地周辺(大和市南部や横浜市泉区上飯田町周辺)で、殺人や強盗といった凶悪犯罪が突出して多発しているという事実は確認できません。むしろ、暴行や傷害といった粗暴犯の件数は、年によっては減少傾向にあることもあります。「外国人が多い=凶悪犯罪が多い」というのは、ステレオタイプな偏見である可能性が高いです。

横浜で現実逃避作成イメージ
ただし「窃盗」には要注意
一方で、楽観視できないデータもあります。それは「自転車盗」や「空き巣」、「自動車盗」といった窃盗犯の発生率です。このエリアは周辺地域と比較しても、自転車の盗難件数がやや高い傾向が見られます。
つまり、この地域の治安を正しく表現するなら、「身の危険を感じるような暴力的な街ではないが、自転車や貴重品の管理をしっかりしないと盗難に遭いやすいエリア」という認識が最も正確かなと思います。
団地内の現在の様子とスラム化の真偽
では、現在の団地内を実際に歩いてみるとどのような様子なのでしょうか。
昼下がりに団地内を散策してみると、そこには驚くほど穏やかな日常があります。広場のベンチでは高齢の方が日向ぼっこをしていたり、公園では子供たちが元気に走り回っていたりと、ごく普通の団地の風景です。

横浜で現実逃避作成イメージ
ただ一点、他の街と決定的に違うのは、飛び交う言葉です。日本語だけでなく、ベトナム語特有の声調のある会話や、中国語、ポルトガル語などがBGMのように聞こえてきます。掲示板やお店の看板にも多言語が併記されており、まるで海外の団地に迷い込んだような不思議な錯覚を覚えます。
「ゴミだらけで荒廃しているのでは?」という懸念についても、確かに建物の老朽化は否めませんが、自治会やボランティアの方々による清掃活動が行われており、道端がゴミで埋め尽くされているといった惨状ではありません。むしろ、建物は古くとも、そこで暮らす人々の生活の熱気や活気が満ちている場所というポジティブな印象すら受けます。
夜の雰囲気と一人歩きの注意点
昼間は活気がある一方で、夜になると雰囲気は少し変わります。これについては、正直にお伝えしておく必要があります。
いちょう団地は昭和に設計された団地であるため、現代の明るいLED街灯が整備された住宅街に比べると、どうしても街灯が少なく薄暗い場所が多いです。また、敷地が広大で建物が複雑に配置されているため、死角になりやすい場所も存在します。
口コミサイトなどで「夜は暗くて怖い」という意見が見られるのも無理はありません。特に女性の一人歩きなどの場合は、過度な恐怖心を持つ必要はないものの、以下の点には注意した方が良いでしょう。
夜間の自衛ポイント
- 団地内の細い抜け道ではなく、なるべく車通りのある大通りを選ぶ。
- 歩きスマホは避け、周囲への警戒心を保つ。
- 万が一のために防犯ブザーを携帯する。
これらは「スラムだから危険」というよりは、「古い大規模団地の構造上の特徴」として理解し、対策しておくべき点ですね。
大和市のスラム街という評判の裏側にある魅力
ここまで「怖さ」や「不安」の検証をしてきましたが、実はこの地域、知る人ぞ知る「魅力的なディープスポット」としても熱い視線を集めているんです。ネガティブなイメージをポジティブな体験に変える、この街ならではの楽しみ方をご紹介します。
本格的なベトナム料理店が集まるエリア
「大和市 スラム街」という検索ワードでたどり着いた人の多くが、最終的にその魅力の虜になるのが「食」です。いちょう団地周辺は、神奈川県内でも屈指の、いや日本有数の「ガチ」なベトナム料理店が集まるエリアとして有名です。
ここで食べられるのは、日本人向けに食べやすくアレンジされたフォーではありません。現地のハーブやスパイスをふんだんに使い、現地の人が現地の人のために作る、本場の味そのものです。

横浜で現実逃避作成イメージ
伝説の名店「タンハー」
例えば、メディアにも度々登場する「タンハー」のような有名店。外観はプレハブのようで入るのに少し勇気がいりますが、一歩店内に足を踏み入れると、そこはもうベトナムの路地裏食堂。飛び交うベトナム語、蛍光灯の明かり、そして漂うパクチーとニョクマムの香り。
メニューも現地の言葉がメインだったりしますが、お店のお母さんたちは意外と親切で、ジェスチャーや簡単な日本語で注文できることも多いです。パスポートなしで数千円で海外旅行気分を味わえる、食通にはたまらない聖地と言えるでしょう。
驚きの家賃相場と生活コストの安さ
もし、このエリアを「住居」として検討している方がいれば、最大の魅力はその圧倒的な「安さ」です。近隣の主要駅周辺の相場と比較しても、いちょう団地の家賃設定は破格と言えます。
具体的にどのくらい違うのか、ざっくりとした目安を見てみましょう。
と近隣駅チカ物件の狭い1K(5〜6万円台)の家賃を比較し、生活コストの安さを強調したスライド。.jpg)
横浜で現実逃避作成イメージ
※以下の表は横にスクロールできます
| エリア・間取り | 家賃相場の目安 | 主な特徴と条件 |
|---|---|---|
| いちょう団地 (2DK / 約40㎡) | 3万円台 〜 4万円台 | 築古、エレベーターなし、駅徒歩20分以上だが広い |
| 近隣主要駅周辺 (1K / 約20㎡) | 5万円台 〜 6万円台 | 駅近で便利だが、部屋は狭い |
3万円台で、カップルや小家族が住める2DKが借りられるというのは、首都圏においては奇跡的な価格設定です。
もちろん、最寄り駅(小田急線高座渋谷駅や相鉄線いずみ中央駅など)からは徒歩で20分以上かかったり、エレベーターがなくて階段で5階まで上がらなければならなかったりと、ハード面でのデメリットは明確にあります。しかし、体力に自信がある若い世代や、とにかく固定費を下げて生活防衛したい人にとっては、非常に合理的な選択肢となり得ます。
「スラム」という言葉の裏には、実は「低所得者や若者が、経済的に余裕を持って暮らせる貴重なセーフティネット」としての重要な機能が隠されているのです。
多国籍な住民との共生とトラブル対策
魅力がある一方で、文化や習慣の違う人々が共に暮らすことによる難しさも、きれいごと抜きで存在します。
よく聞かれるのは「ゴミ出しのルール」や「夜間の騒音」に関するトラブルです。日本のように細かくゴミを分別する習慣がない国から来たばかりの人が、ルールを理解できずに捨ててしまったり、夜遅くまで外で集まっておしゃべりやパーティーをするのが普通の文化圏の人が、日本の静かな夜の習慣と摩擦を起こしたりすることがあります。
しかし、地域も手をこまねいているわけではありません。自治会では多言語でのゴミ出しルールのポスター掲示や、外国人防災リーダーの育成など、共生に向けた地道で泥臭い努力が続けられています。

横浜で現実逃避作成イメージ
もしこの地域に住むことを検討するなら、「ここは日本だけど、ちょっと日本じゃない場所」と割り切り、「多少の音やルールの違いには目くじらを立てず、おおらかな気持ちで接する」というマインドセットが大切かなと思います。
観光資源としてのいちょう団地の楽しみ方
最近では、この独特な景観や多文化な雰囲気を求めて、カメラ片手に散策する人や、週末にグルメツアーを楽しむ人も増えています。
おすすめの楽しみ方は、週末の昼間に訪れて、団地内にあるアジアの食材店を覗いてみることです。日本のスーパーでは絶対に見かけない謎の野菜、ドリアン、見たことのない調味料が所狭しと並んでおり、見ているだけでワクワクします。お店の人に「これはどうやって食べるの?」と聞いてみるのも楽しいコミュニケーションです。
秋の「いちょう団地祭り」は必見
また、タイミングが合えば、秋に開催される「いちょう団地祭り」に参加してみるのもおすすめです。ベトナム、中国、カンボジア、ラオス、ペルーなど、各国の家庭料理の屋台がずらりと並び、民族舞踊が披露されます。
「怖い場所を見に行く」という興味本位ではなく、「異文化ミックスのエネルギーを感じに行く」というスタンスで訪れれば、きっと新しい発見と美味しい出会いがあるはずです。
大和市のスラム街は多文化共生のモデル
結論として、「大和市 スラム街」という検索ワードから見えてきたのは、荒廃した危険地帯ではなく、日本の未来の縮図とも言える多文化共生の最前線でした。
確かに建物は古く、昭和の遺産のようです。ゴミや騒音など、文化的な摩擦による課題も残っています。しかし、それを補って余りある人々の活気と、異文化を受け入れてなんとか共存していこうとする地域のたくましいエネルギーが存在します。治安についても、基本的な防犯意識を持っていれば、過度に恐れる必要はありません。

横浜で現実逃避作成イメージ
もし興味を持たれたなら、まずは美味しいフォーやバインミーを目当てに、昼間のいちょう団地を訪れてみてはいかがでしょうか。そこには、ネットの情報だけでは分からない、リアルで人間味あふれる生活の息吹が待っていますよ。
といちょう団地の位置関係を示した地図。「まずは一杯のフォーから」と訪問を促すスライド。.jpg)
横浜で現実逃避作成イメージ
※本記事の情報は執筆時点の調査に基づくものです。物件の状況や店舗情報は変更になる可能性がありますので、最新情報は公式サイト等でご確認ください。
関連記事
- 神奈川・横浜の穴場スポット — 地元民おすすめの隠れ名所まとめ
- 横浜のユニークスポット — 一風変わった観光地を巡る
- 横浜の廃墟・スポットガイド — 歴史を感じる観光地めぐり
- 泉川自然散策 — 都市近郊の自然歩きコース案内
- 横浜から1時間旅 — 近場で楽しむ日帰り旅スポット特集