横浜観光 地元民 知らない 港北区の素顔を探る

現実逃避港北区 ちょっと離れた場所

横浜観光 地元民 知らない|港北区の知られざる穴場スポットを巡る旅

にぎやかな横浜の陰に隠れた、“港北エリア”の素顔を探る

「横浜観光」といえば、多くの方がみなとみらいの近代的なビル群、赤レンガ倉庫のロマンチックな雰囲気、あるいは中華街の活気ある雑踏を思い浮かべるでしょう。しかし、港町として発展した沿岸部から少し内陸に入った場所にも、横浜の多様な魅力が息づいています。観光客にはあまり知られていないものの、訪れる価値のあるスポットが点在しているのです。

今回ご紹介する港北区は、新横浜のビジネス街や広大な住宅街が共存する、横浜市内で最も人口の多い区です。そのため、「観光地」というイメージは薄いかもしれません。この記事では、「横浜観光 地元民 知らない」というキーワードを軸に、そんな港北区の歴史、豊かな自然、そして地域に根ざした文化を感じられる穴場を厳選しました。都会の喧騒を忘れさせてくれる静かなスポットから、地元の人々に長年愛されてきた心温まる名所まで、ゆったりと歩いて楽しめるコース仕立てで紹介していきます。

記事のポイント4つ

  • 港北区は歴史と再開発が同居する不思議なバランスの街

  • 地元民でも通り過ぎてしまう静かな緑と水辺の風景

  • 「観光地らしくない」場所だからこその癒しと発見がある

  • 横浜の別の表情をのんびり歩いて体感できる


横浜観光 地元民 知らない 港北区のおすすめ穴場スポット

1. 大倉山記念館と梅林公園|アールデコ建築と四季の彩り

港北区を代表する文化的ランドマークのひとつが、丘の上に建つ大倉山記念館です。昭和7年(1932年)に実業家・大倉邦彦氏によって「大倉精神文化研究所」として建てられたこの建物は、ギリシャ神殿を思わせる列柱が印象的なアールデコ建築(プレ・ヘレニック様式)です。その荘厳でありながらも開放感のある空間は、訪れる人々に静かな感動を与えてくれます。

現在は横浜市の指定有形文化財にもなっており、館内は無料で見学できるエリアもあるほか、ホールやギャラリーは演奏会や展示会に活用されています。高台にあるため、記念館のテラスからは港北区の街並みを一望できます。

また、記念館に隣接する「大倉山梅林公園」も、地元住民に愛される憩いの場です。早春には、約200本もの梅(白加賀、豊後、見驚など約40種)が咲き誇り、園内は甘い香りに包まれます。梅の開花時期に合わせて開催される「大倉山観梅会」は多くの人で賑わいますが、それ以外の季節は比較的静かです。園内はベンチや散策路が整備されており、平日でも近所の方がのんびりと散歩している光景に出会えます。横浜の中心部とはまた違った、落ち着いた気品ある文化的な空間がここにあります。

ただ、東急東横線の大倉山駅から記念館までは急な坂道が続くため、歩きやすい靴での訪問をおすすめします。

スポット情報:大倉山記念館・大倉山公園(梅林)

アクセス 東急東横線「大倉山」駅より徒歩約7分(記念館まで)
開館時間 記念館:9:00~22:00(見学は17:00まで推奨) 梅林:常時開放
休館日 記念館:年末年始(その他、臨時休館あり)
料金 見学無料(ホール・集会室等の利用は有料)

(出典:大倉山記念館 公式サイト

2. 新羽の横溝屋敷|江戸の農村風景を残す貴重な建物群

新横浜のビル群からさほど離れていない新羽(にっぱ)エリアに、まるでタイムスリップしたかのような空間がひっそりと残されています。それが「横浜市指定有形文化財 横溝屋敷」です。ここは、江戸時代後期(18世紀末)の農家の暮らしを今に伝える貴重な古民家群です。

約2,500平方メートルの敷地内には、重厚な藁葺き屋根の主屋(おもや)を中心に、納屋、文庫蔵、穀蔵、蚕(かいこ)小屋などが、建築当時の配置のまま保存されています。これだけの建物群が一体として残っているのは、横浜市内でも非常に珍しい例です。訪問者は履物を脱いで主屋に上がることができ、広い土間や囲炉裏、畳の間に座って、縁側から庭を眺めることができます。

夏には風鈴の涼やかな音が響き、秋には軒先に干し柿や稲が吊るされるなど、日本の四季折々の趣を感じられるのも魅力です。ボランティアのスタッフの方が常駐しており、希望すれば屋敷の歴史や当時の農村の暮らしについて丁寧に案内してくれます。観光地化されていない静かな環境で、江戸時代の息吹を肌で感じることができるでしょう。アクセスは最寄り駅から少し歩きますが、その分、日常を忘れる穏やかな時間に出会えます。

スポット情報:横溝屋敷

アクセス 横浜市営地下鉄ブルーライン「新羽」駅より徒歩約10分
開館時間 9:30~17:00
休館日 毎週火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
料金 無料

(出典:横浜市指定有形文化財 横溝屋敷(横浜市港北区)

3. 鶴見川沿いの緑道と樽町ポンプ場|川と共にある暮らし

港北区の東部を雄大に流れる鶴見川は、地域の人々の生活に寄り添ってきた重要な存在です。かつては水害に悩まされることも多かった鶴見川ですが、国土交通省京浜河川事務所などによる長年の治水対策により、現在は貴重な自然空間と憩いの場を提供しています。国土交通省京浜河川事務所のウェブサイトによると、鶴見川流域では「総合治水対策」が進められ、その一環として遊水地や緑地が整備されてきました。

川沿いには「鶴見川サイクリングコース」としても知られる遊歩道が整備されており、ジョギングやサイクリング、犬の散歩などを楽しむ地元住民の姿が絶えません。特に綱島駅から新横浜駅方面へ向かう区間は、開放感抜群です。

中でも、綱島エリアにある「樽町ポンプ場」は、通常は水害対策の重要な施設でありながら、そのレトロな外観が目を引くスポットです。赤レンガ調の円筒形の建物は、周囲の風景と相まって写真映えもします。ポンプ場周辺は「樽町しょうぶ公園」として整備されており、桜やススキ、しょうぶなどが植えられ、季節の移ろいを肌で感じられます。昼下がりにベンチで休みながら、川面の風に吹かれる時間は、都会の慌ただしさを忘れさせてくれる格別なひとときです。

スポット情報:鶴見川緑道(樽町ポンプ場周辺)

アクセス 東急東横線「綱島」駅より徒歩約15分(樽町ポンプ場付近)
開放時間 常時開放(ポンプ場内部の見学は不可)
料金 無料

4. 綱島の温泉文化とレトロモダンな温泉銭湯

現在では住宅街や商業地として発展した綱島ですが、大正から昭和初期にかけては「綱島温泉郷」として栄え、“東京の奥座敷”と称された歴史を持ちます。多くの温泉旅館が立ち並び、芸者衆も行き交う華やかな歓楽街でした。その名残を今に伝えるのが、駅近くで営業を続ける「綱島ラジウム温泉 東京園」です。

この温泉銭湯は、今もなお「黒湯」と呼ばれる天然の温泉を源泉かけ流しで楽しめる、地域にとって貴重な施設です。黒湯は、大昔の植物などが地層に溶け込んだ「モール泉」の一種で、コーヒーのような濃い色が特徴。肌触りが柔らかく、湯冷めしにくいと言われています。

建物もレトロそのもので、ロビーには昭和の雰囲気が色濃く残るソファやゲーム機が置かれています。浴室も昔ながらの銭湯の趣ですが、清潔に保たれています。多世代の地元住民が利用していることからも、この温泉が地域に深く根づき、愛されている存在であることがうかがえます。都会の喧騒から一歩離れて、歴史ある温かい湯に浸かる贅沢なひとときを過ごせます。

注意点として、ここは一般的なスーパー銭湯とは異なり、昔ながらの銭湯です。シャンプーや石鹸は備え付けられていないため、持参するか番台で購入する必要があります。

スポット情報:綱島ラジウム温泉 東京園

アクセス 東急東横線「綱島」駅より徒歩約2分
営業時間 10:00~23:00(最終受付22:30)※変更の場合あり
定休日 不定休(公式サイト等で要確認)
料金 大人 530円(横浜市公衆浴場料金)※サウナは別途料金

横浜観光 地元民 知らない 港北区モデルコース

これまで紹介したスポットを巡る、のんびりとした1日モデルコースを提案します。公共交通機関と徒歩で巡る、港北区の多様な顔に触れるプランです。

午前:大倉山記念館 → 大倉山梅林公園 → 横溝屋敷

朝は東急東横線の大倉山駅からスタートします。まずは坂を上り、大倉山記念館の荘厳な建築と梅林公園の緑に癒されましょう(所要時間:約60~90分)。四季折々の草花を楽しんだ後は、大倉山駅前に戻り、横浜市営バス(13系統「新横浜駅前」行きなど)に乗車。「新羽駅」または「横溝屋敷入口」バス停で下車し、横溝屋敷へ向かいます。江戸時代の農村風景の中で、静かな文化体験を楽しみます(所要時間:約45~60分)。思わず時間を忘れてしまうかもしれません。

昼:綱島でのんびり温泉タイムとランチ

横溝屋敷見学後は、新羽駅から横浜市営地下鉄ブルーラインで1駅の「新横浜」駅へ出るか、バスで綱島駅へ直接向かいます。綱島に到着したら、まずはランチです。綱島駅近辺には、昔ながらの洋食屋やカレー専門店、地元で人気の町中華など、観光地化されていない「地元の味」を楽しめる名店が点在しています。食後は「綱島ラジウム温泉 東京園」で、黒湯の天然温泉に浸かり、旅の疲れを癒しましょう(所要時間:入浴・休憩含め約60~90分)。

午後:鶴見川沿いの緑道を散策

温泉で心身ともにリフレッシュしたら、午後は鶴見川沿いの遊歩道へ。天気がよければ、綱島駅から樽町ポンプ場方面へ、川の流れる音と心地よい風を感じながらのんびりと散策します。春には桜、夏には青々とした緑、秋には紅葉とススキが風情を添えてくれます。特に目的地を決めず、気の向くままに歩くのがおすすめです。歩き疲れたら、川沿いの公園や東屋でひと息つくのも良いでしょう。


横浜観光 地元民 知らない 港北区まとめ

  • ギリシャ風アールデコ建築と四季の彩りが美しい大倉山記念館

  • 江戸の農村風景が現存する横溝屋敷で文化と歴史を体感

  • 地元民に愛される鶴見川の自然と桜並木で癒しの時間

  • レトロ温泉銭湯「東京園」で心も体もリラックス

観光客で混雑する横浜の有名スポットとは対照的に、港北区には、人混みを避けながら心からくつろげる場所が数多く存在します。今回ご紹介したスポットは、いずれも派手さはありませんが、その土地の歴史や文化、自然を静かに感じられる場所ばかりです。

歴史ある建築物、江戸時代の農村風景、雄大な川の流れ、そして昭和の香り残る温泉。これら多彩な顔を持つ港北エリアは、横浜の奥深さを教えてくれます。“横浜観光 地元民 知らない”という視点で一歩踏み出せば、きっとあなただけの特別な横浜時間を見つけられるはずです。

関連記事